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究極の眼鏡話 

『眼鏡』

島崎藤村の『眼鏡』という児童文学作品をご存知でしょうか?
眼鏡萌えのワタクシもビックリなその内容、なんと主人公が眼鏡なのです(笑)
決して、眼鏡をかけているから「眼鏡」というあだ名の主人公ではありません。
眼鏡という物体その物です。
書き出しはズバリ、“眼鏡が斯樣(こん)な話を始めました。”(笑)

眼鏡の持ち主は若い男で、眼鏡は彼のことを「旦那」と呼んでいます。
そして、旦那の“鼻の上へチヨンと乗つかり”、旦那と一緒に旅をするのです。
旅の途中で來助爺さんという刀鍛冶や、旦那の旧友の林さんなどと出会います。
旅を終え、東京に戻ってきたところで物語は締めくくられるのですが、それがまた、
最後まで気を抜かせません。

“來助爺さんが東京へ出て來ました頃には、旦那のお友達の林さんも亡くなりました。 來助爺さんは、最早七十に近い老人でしたが、まだチントンチントンやつて居ました。 (をはり)”

―― て、なんでサラッと林さんの訃報を入れて“をはり”なの!?
そこはフツー、「林さんも達者にしているようです」的な文章じゃないの!?
さすが島崎藤村…!(笑)
ちなみに、94年前の作品です。

『眼鏡』扉ページ
眼鏡でも旦那でもなく、扉ページはなぜか來助爺さん(笑)
この深く人生の陰影の刻まれた表情の下に、子どもが描いたような汽車の
絵を置くというギャップが鮮烈過ぎる。
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